プロゴルファーによるゴルフクラブの評価サイト

  1. ドライバーランキング

PARADYM Ai Smoke Ti340 mini ドライバー

全米およびオーストラリア、タイ、中国など100箇所以上にゴルフ練習場を展開するトップゴルフ・エンターテインメント。この企業の展開するサービスは単なるゴルフ練習場だけではなく、複数人数で個室を予約し、お酒を飲んだり食事を楽しんだりと、ゴルフというスポーツを一大エンターテインメントにまで昇華させた。そしてキャロウェイ・ゴルフは、2020年トップゴルフ・エンターテインメント・グループの未保有株を取得し経営統合した。

お酒を飲みながらおしゃれな空間でワイワイとゴルフをする、そんな環境下では自分のゴルフクラブを持参せず、貸しクラブでプレーをすることも多い。酔っ払いながらクラブを床や壁に叩きつけたりもするかもしれない。キャロウェイゴルフはそのようなタフな環境でも長期間使える耐久性を兼ね、さらにcoolなデザインで素人でも打ちやすい【貸しクラブ】を提供しようと考えた。それがこの「PARADYM Ai Smoke Ti340 mini ドライバー」の開発の背景である。練習場の貸しクラブとしてラフに扱われても耐久性を保てる様にソールはカーボンを採用していない。ちなみにトップゴルフの練習場備え付けのティが低かったため低いティで打つ様に設計されたとcallaway広報担当の談があるが、真偽の程は確かではない。

これまでミニドライバー市場がテーラーメイドの寡占市場であったのは言うまでもない。2024年7月19日に発売されたこのTi340がテーラーメイドの二番煎じ、いわゆるマネであるというレッテルも貼られつつあるが、断じてそうではないことを明言しておきたい。なぜならそもそも大型ヘッドが主流となったこの10~15年の間、テーラーメイドもキャロウェイも、(はたまたタイトリストも)スポット的に小型ヘッドの開発にも着手していたからである。例えば2012年〜13年にかけてフィル・ミケルソンは「フランケンウッド」の呼称で知られるミニドライバーを提供され使用しているし、X hot pro 2deep や3deepなどのモデルも市場に投入されテストされている。もちろんテーラーメイドもSLDR S miniドライバーや300miniドライバーなどを経て現在主流のBRNR miniドライバーがヒットしている経緯がある。

バーナーミニドライバーとの比較
以上の経緯で開発されたCallawayのミニドライバーは、明らかにBRNR mini(バーナーミニ)とは性格が異なる。どちらかというとBRNR miniがフェアウェイウッド特性に沿ってデザインされているのに比べてこのTi340 mini はドライバー寄りの設計である。ヘッド容積はBRNR miniが304ccであるのに比べてTi340 miniは340cc。クラブレングス43.5inchなのは同じだが、実際にはキャロウェイの方がやや短い。ヘッド体積の差もありTi340の方が、圧倒的にヘッドが大きく感じる。

飛距離性能
本クラブの飛距離性能だが、RatingGateでプロが試打計測した結果では通常のドライバーに比べてヘッドスピードが1~1.5m/sのビハインド、総飛距離平均で7~12ydsのマイナスであった。情報サイトでは通常のドライバーに比べて飛距離はさほど変わらないとの記事も散見されるが、やはりミドル〜ローハンデキャップのプレイヤーであればあるほどヘッドスピードのロスは避けられない。

その他の性能
となるとやはり通常の460cc前後のドライバーと比較してアドバンテージを探す必要に駆られるのだが、特筆すべき優位性はその圧倒的な安心感であろう。つまり43.5inchで340ccのヘッド、しかもそれほどシャローでもないこのドライバーは、ティショットでアドレスした時にナイスショットを予感させることに十分すぎるほどの安定感を視覚的にプレイヤーへ供給できるのである。前述のBRNR miniはヘッドも小さく、レングスもほんの少しTi340 miniより長い。フェアウェイウッドからの打ちやすさはBRNR miniに軍配があがるが、ティショットでの安心感は圧倒的にこのTi340 miniなのである。(かといってフェアウェイからの直ドラが不可能なわけでもなく、ある程度のヘッドスピードと技量があればしっかり地面からでもボールを浮かすことが出来るのも素晴らしい点である。)

またもう一つの大きな利点は方向性である。当然のことながらシャフトが短くヘッドが大きいほど球は曲がりづらくなる。一方、ヘッドが大きく、重くなるほど慣性モーメントは大きくなりオフセットヒット(芯から離れた場所でのヒット)時のヘッドのブレは少なくなる。Ti340 miniドライバーは単純明快にシャフトが短いことが方向性を良くしているのだ。その反面340ccというヘッド容積は慣性モーメントの点では不利になるが、実際には極端にヘッドが捻れたりブレたりしない。これはCallawayの18番であるAiスマートフェースによるところが大きいだろう。(事実、このTi340 miniに用いられているフェースは優しさを優先するためPARADYM Ai maxDのフェースをモディファイして設計されている様である。)重心距離が深く、長い大型ヘッドのドライバーは、バックスイングでもダウンスイングでもヘッドのリアクションが鈍かったり途中でヘッドが垂れたり不必要に開いたりする違和感がつきものだが、このヘッドはその違和感がかなり軽減されている。どうしても大型ヘッドがうまく打てない、パーシモン、メタルと移行してきたプレイヤーにはとてつもなく打ちやすく感じるに違いない。実際にプロの試打でも、ヘッドが返り切らず大きく右にすっぽ抜けたというインパクトの瞬間のイメージがあった時でも、実際は大きくスライスすることなく何とかラフにかじりつく程度の結果であったことも多かった。

その他の特徴
このヘッドの特徴として以下の点をあげたい。11.5度のヘッドは、実際の数値よりもボールは上がりづらい。BRNR miniに比べてスピン量は多少多めであるので、棒球でまっすぐ飛んでいく様な直進性には乏しい。スピン量が確保されているのは、明らかに飛距離firstではなく方向性を重視していることへのcallawayの意思表示である。またウェイトを前後逆にすると、少しヘッドが走る感じが出る。おそらくは飛距離も伸びてくる。その分シャープな印象となりフェアウェイウッドに似た感覚が強くなる。さらには、ヘッドが小さくエネルギー効率が良いためスマッシュファクターは高く出やすい。スマッシュファクターの値だけでこのドライバーが自分に合っていると判断するのは早計である。純正シャフトのTENSEIは素直で癖がなく無難なシャフトである。元々PARADYM Aiで評価の高かったシャフトである。

セッティング
ミニドライバーをキャディバッグに入れた時のセッティングについては悩ましいところである。実際のクラブセッティングに対する望ましい例を挙げると、ミケルソンの様にドライバー+Ti340 miniという組み合わせももちろんある。(その場合はドライバーの挙動を出来るだけ統一するために出来るだけシャフトは同じ挙動のものをチョイスする必要がある。)また3Wを入れずに4Wや5Wを入れるという選択肢も可能だろう。

総評
これまでBRNR miniの独占市場(というよりはこのクラブしかなかった)であったミニドライバー市場に参入したCallaway。当然後から出すこのクラブの方が性能的には有利なのだが、大きく性格が変わるこの2つのクラブ(Callawayはティショット重視、バーナーはフェアウェイ重視)に関しては、プレイヤーの特性に合わせてどちらをチョイスするか選べば良い。総合的には非常にユニークで新しい可能性を示唆するドライバーである。340ccで43.5inchなら、10年前のクラブを物置から引っ張り出してくれば同じだろうと考えてはいけない。カーボンフレームによる重心の最適化やAiスマートフェースなど、最新テクノロジーはしっかりと組み込みながら、340ccで43.5inchという枠組みの中で設計された最新で高機能なドライバーがこの340Ti miniなのである。今後新しくミニドライバーを設計するとしたら、(可能性)として400cc前後で43.5~44inchのドライバー(もはやミニドライバーではないが)が登場するのかもしれない。

ドライバーランキングの最近記事

  1. PARADYM Ai Smoke Ti340 mini ドライバー

  2. PING G430 / MAX 10K

  3. NS210 / NEXGEN

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP