ザ・ゼクシオ 大ヒットの理由 / 2008年12月13日
ダンロップ(SRIスポーツ)のフラッグシップモデル、ゼクシオがまたしても大ヒットを続けている。
ゼクシオといえば初代〜3代のヒットによって完全にネーミングが日本全国に浸透し、国民的ブランドになっているが、ゴルフ業界不況のこの時期にきて、またしても2008年モデル(5代目)の売れ行きがすこぶる好調だ。
大手量販店の売り上げランキングでも、ダントツのNo1を10か月以上維持し続けている。
RatingGateでも2008年の2月に分析を掲載し、総評にて
「 ザ・ゼクシオは、販売戦略さえ間違えなければ、ヒットモデルになることは間違いない。 」
と締めくくっているが、10か月経った現在、正に大ヒットを維持し続けているのである。
RatingGateのランキングでは、オーダーメイドでスペックを指定できるいわゆる地クラブの台頭が目立っているが、大手メーカーのドライバーで、長い間上位に居座り続けているのは、この5代目ゼクシオとキャロウェイのレガシーくらいなものである。
なぜゼクシオはヒットモデルとなりうるのか。
性能に関しては分析を熟読していただきたいが、大きな要因としてトータルバランスの良さが挙げられる。
飛距離性能も、方向性も、すべてが高い水準で、大きな欠点が見当たらない。さらにターゲットゾーンとボリュームゾーンが完全に一致している。
昨今のゴルフ市場では、各メーカーが様々なヘッド形状のドライバーを発売し、一般ユーザーは、どのクラブを購入するべきなのか迷うことが多い。
本場のアメリカでは 性能の良いもの = 売上アップ につながり、ピン、キャロウェイ、マグレガー、クリーブランドなどの舶来メーカーは、こぞって 「とにかくよく飛んでまっすぐ進むクラブ」 を設計する傾向が強い。
対して日本市場では、文化の違いや独自の美的感覚に起因するのであろうか、どんなに性能の優れているクラブでも、形が独特なものはなかなかユーザーに受け入れられないのである。
つまり、「恥ずかしい」 「かっこ悪い」という さびの文化 が未だに深く根付いていると言えよう。
日本アマで使用率1位に輝いたのは、オーソドックスなヘッド形状のスリクソンZR−800であったのに対して、USアマではタイトリストの異形ドライバーに人気が集中した。
また、ダンロップ、ミズノ、ブリヂストンなどの日本製ドライバーについて、やはりオーソドックスな形状のイメージが強いことを思い出していただきたい。その中核をなすのがゼクシオなのである。
つまり、ゼクシオは日本人にとって、性能が平均的に高く、一度購入すれば何年も使える、飽きのこない良クラブなのだ。ローヘッドスピード層に対しては飛距離性能においてもトップクラスと言える。
異形ドライバーのように途中で急に使う事が恥ずかしくなったりせず、クラブを信用して練習に励めるクラブと言っても良い。
また、さらにゼクシオはフルモデルチェンジの期間を約2年に一回というペースで堅守し続けている。かつてのキャロウェイ社のように、ユーザーの反応を見ながらちょこちょことマイナーチェンジを繰り返すような小細工をしないことも、ユーザーが安心して購入に踏み切る後押しをしてくれている。
マイナーチェンジをする必要がないほど製品を成熟させて発売することは、ユーザーが不利益を被らないための配慮であり、この点はRatingGateは高く評価したい。2008年12月の時点で購入したとしても、まだ1年、新製品が発売される恐れがないのである。
テーラーメイドなどは2008年モデルで、これまでのようにオーソドックスな形状のヘッドを一つも発売していない。どのような意図でこのような販売構成になったのかはわからないが、果たしてこの布陣で日本市場の売り上げを維持できるのか甚だ疑問である。
ゼクシオは、2008年の12月にはいり、新しく 「ゼクシオ REVO」 というドライバーを追加発売する。
これは、マイナーチェンジではなく追加モデルであり、もちろんこれ以降もこれまでのゼクシオの店頭販売価格がマークダウン(低下)することもないし、どちらがフィットするかはユーザーによって変わる。
性能の差異としては、現行のゼクシオと基本性能は変わらないものの、シャローフェースになりヘッドの投影面積が大きくなった。
何にせよ、日本人の好みや性格を的確に把握した、ダンロップ、ゼクシオの勢いはしばらく留まることを知らないだろう。
また、RatingGate読者の要望が多いことも考慮に入れ、いくつかの推奨ショップに、ショップで破損時のクラブ保障を完全に行うことを条件に、ゼクシオ、レガシーのクレイジーシャフト装着モデルの販売を許可したという経緯を付け加えたい。
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