比較的初級~中級者でも使用できるように設計されたPP(Passing point)シリーズの3作目。いまいち人気の出なかった2代目の欠点を解消しうまく修正してきている。
前作PP9002とは性能も大きく変化し上級者が嫌うインパクト時の鈍感さも少なくなり、それでいてボールの捕まりやスイートスポットの大きさは維持してきている。
何か革新的な特徴は見当たらないが、ショートホーゼルやセミグース設計など当たり前のことを当たり前に高い次元でこなしてきているという印象。
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前作と変わりない評価で申し訳ないが、飛距離性能に関しては特に変わって新たに特筆すべき点は見当たらない。
良く飛ぶし良く上がり良く止まる。殆どのプレイヤーは何も不満なく使用出来るだろう。
PPシリーズは1作目から今回の3作目まで全てロフトは変更を加えていない。Pwが45°なのでどうしてもショートアイアン間の飛距離差が大きくなってしまうが、ターゲット層を考えれば、番手間の飛距離の穴よりも単純に短い番手でグリーンを狙えることの方がメリットととらえているのだろう。それはまさに正しい。
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前作に比べて少しシャープさが強く、今まで大きめのキャビティーを使用していたプレイヤーは少し難しく感じるだろう。
トップブレードも適度に薄く、ボールを根こそぎ運ぶようなイメージはない。ただしショートアイアンのグースはきつめでボールの捕まりは良い。
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大幅に改善が見られたのがこの操作性である。
特にミドル~ロングアイアンではフックやスライスもかけやすくなった。低い球は若干苦手。
ショートアイアンはフェードでコントロールしようとするとまっすぐ左に突き抜けやすくなぜか打感も鈍くなってくるものの、前作で評判の悪かった鈍感さは7割方修正されたと言って良いだろう。
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ヘッド形状について、PP9002はトゥに違和感のある膨らみがあり異様に角張って見えた。さらにはトップブレードも厚く三浦技研似つかわしく無い初心者向きの印象が強かったが、9003ではこれら全てのマイナス要素がおおよそ修正されて来ている。
実際にセットアップしてみてもヘッド自体が大きいこと以外はオーソドックス。トップブレードは薄くなり上級者好みに仕上がっている。
ショートアイアンのグースが若干強めなのが気になるところではあるが、初級者、スライサーはこちらの方がしっくりくる人もいるだろう。
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まだまだマッスルバックやハーフキャビティなどには及ばないものの、それなりに心地よいソフトなレスポンスを獲得しつつある。
芯でボールを捉えると(パーン)と少し低めの乾いた金属音がして、スイートスポットの大きさを主張している。ただボールがヘッドに吸い付き柔らかく押し出すような感覚は少ない。上級者で打感にこだわる人には適応にならない。
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最低限のヘッドスピードは必要だが比較的ボールも上がりやすくアスリートでなくとも十分に使用可能である。様々なシャフトが装着可能であるのでご自身の体力と相談して総重量を決めて頂きたい。
またカーボンシャフト用モデルは受注生産であることは前作と同じである。
標準の適正ヘッドスピードは42m/s~としておこう。
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本モデルではPP9002よりも敏感さが戻ったため、カーボンシャフトでなくとも操作性が犠牲にならない。DGのようなねばり感があるシャフトでも大丈夫である。
また面白いのは三浦技研独自のセミカスタムチョイスである。HPに詳細が掲載されているが、ソール形状は2種類、フェイス形状は3種類、つまり合計6種類のうちから自分の好みに合わせてヘッドを選択できる。
これは大手メーカーでは絶対に真似できない。なぜなら恐らくミウラは注文生産を受けた時点でヘッドの原形を削り始めるからである。
6番アイアンなら6番のヘッドを100コ大量生産する大手メーカーと違って、一つのセットを続けて削るこの方法の方がヘッド番手間における微細な形状の流れも維持でき、当然重量も完全なフローが出来上がる。値段は張るがこれこそがオーダーメイドと言えよう。
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特に余計な装飾などを施さないのが三浦技研の良いところである。本当の上級者は性能に関係のない華美なデザインを嫌う。
さらに好感が持てるのがPassingPointのロゴが黒からシルバーに変わったことである。今回のモデルではバックフェースがかなり細かいブラスティングであるため、その美しさを際立たせるためにはロゴはあまり腫脹しない方が良い。
所有すればキャディーバッグの中を見てにんまりしてしまうこと請け合いである。
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