2年周期で発売されるゼクシオシリーズはこれまで絶大な人気を誇り、誰もが認める完成度を誇ってきた。RatingGateでも一般大手メーカーのヘッドとしては
最高ランクの評価を維持し続けてきた。しかしこの8代目に関しては奇抜な設計を取り入れすぎ、完成度が落ちてきた印象がある。何しろヘッドを1g重くし、グリップを10gも軽く作っているのだから
ゼクシオ7とは全く違う設計である。
もっとも大きな特徴はそのボールの上がりやすさである。ロフト9.5度でも実測は11度を超え、重心もボールが上がりやすいように設計されている。当然打ち出し角も高いがボールの回転数も段違いに高く、上昇気流にのった風船のように垂直に上に上がっていってしまう。これでは近くを飛ぶカラスが驚くだけで、プレイヤーが驚くような飛距離は得られまい。
ゼクシオ8の試打会ではダンロップのクラブフィッターが困惑する姿を多く目にした。つまり今までのゼクシオユーザーでヘッドスピードが44m/sを超えるような人にはボールが上がりすぎて全く合わないからである。ロフト9.5度でも計測器でボールのバックスピンがが4,000回転を超えるようではさすがにフィッターも薦められまい。もちろん
RatingGateのスタッフプロは全員超アンダースペックになってしまった。
打球音は相変わらず素晴らしくキーンと耳に心地よく届く。打感も決して不快な固さではなかった。クラブ総重量が軽いわりにヘッドは良く動くので、ボールにヘッドの運動量が乗るとエネルギーが良く伝わるようである。つまりボールの軽さ以外は相変わらずの高評価を与えることが出来るクラブなのである。しかしゼクシオの最も大きな魅力はその総合性能の高さとこのクラブを買っておけば失敗はないだろうという安心感ではなかろうか。
ゼクシオ8にはその両方がない。
もはやゼクシオの設計が全クラブメーカーの設計の方向性を決めると言っても良い日本のゴルフ市場であるが、今回の
ゼクシオ8に関しては多くのメーカーが疑問をもつに違いない。
ゼクシオ8は超高齢化社会に照準を合わせてきているのか?確かにスペックさえ合えば、練習量が少なくても易しく、ボールを上げる力のない人、かなりのローヘッドスピーダー、万年スライサーには楽しいゴルフを提供してくれるのかもしれない。