2013年度開幕戦、出場選手132人中41人がこのドライバーで参戦したというテーラーメイドＲシリーズの2013年度モデル。100通り以上の調整が可能でありロフトは10度の１種類のみ発売している。

飛距離性能はいたって普通並みである。決して特別に高くないし弾きも良くない。ミート率も1.4が精一杯で他社ヘッドと比べても決して性能が高いとは言えない。
また打球の飛び方としては、ボールの質が低いが決して重くないようである。
ここで特筆すべきなのはヘッド重量が重いという点。もちろんメーカーの設計意図によるものであろうがメーカーHPではこれに触れる記述はなく、市場でこのヘッドの重さは認識されていない。それにも関わらずこれによる影響は大であり、力のないプレイヤーはヘッドスピードが遅くなり飛距離をロスする可能性がある。事実アマチュア試打スタッフの中にはGST計測でヘッドスピードを落としたプレイヤーも多くいた。

形が異型であり抜群の直進性が見える。これは中〜上級者だけではなく初心者が打っても同様。上級者向けにしてこれだけ簡単なヘッドも珍しく、何の知識がなくともただただ振るだけで何となく曲がらないなと感じるだろう。これが実際にテーラーメイド社の最新テクノロジーによるものだと気づくのは、実際に他のドライバーと打ち比べた時であろうか。
注意点としては、ボールを自然にあげてくれるヘッドではないのでヘッドは自分の腕力、またはテクニックで走らせてやらなければならないという点。

低い玉は打ちやすいがフック、スライスはヘッドのギア効果を利用しないと難しい。前述したように初心者には簡単。
ヘッドは回転しづらい。
また調整機能によりボールの球筋は思ったよりも大きく変わることも付け加えておこう。

セットアップするとニュートラルポジションで少し開き気味であることに気がつく。
クラウンは模様は決して美しいとは言えないものの後述する錯覚の効果は確かに感じる事が出来る。
また後ろがこちゃごちゃしている割にはしっかりと芝の上に設置出来ることは少し予想外であった。

毎回毎回同じコメントとなってしまうが、テーラーメイドのドライバーの打感は非常に悪い。ガチャっとしたプラスチックのおもちゃのような打感で硬く、球離れも早く感じる。

まずボールが落ち着いており高弾道が打ちづらいことを認識するべきである。もともとあまりにボールが低いローヘッドスピーダーはシャフトの選択にも注意が必要である。一応40m/s~からとしておこうと思う。

ロフト１２種類、重量（重心距離）２種類　フェース角７種類　合計１６８通りのスペックから選ぶ事が出来る。加えてシャフトも純正１種類を含めた５種類から選択可能。実際にポジションの調整によってかなり弾道の補正は可能である。
これだけ多彩なスペックが選択出来れば、大体どんなプレイヤーにも全く合わないということはないように思うが、上級者でやさしさを最重視する人やドライバーが苦手な人には特に相性が良い。飛距離を求める人には×

色自体はホワイトにオレンジで近未来的な先進性を感じさせるが芸術的な美しさは皆無。
クラウン部の模様はただのデザイン的なものだけではなく、クラウンを薄く見せることによってフェース面を膨張させてみせる錯覚を利用している。

※飛距離の基準について

 H/S 42m/s以下の方

 H/S 43〜46m/sの方

 H/S 47m/s以上の方

※Fitting Mapでは、各要素のが縦に一直線に並ぶほどバランスが良い設計とみなされます。

方向性が良いので試合で使えば安定性は抜群。ただ快感を得られないのでゴルフの楽しみは減る。
一本自分のエースドライバーを持っていて、遊びのセカンドドライバーとしては面白いモデルではあるが、これをエースドライバーにしようとすると、硬い打感と手首に残る衝撃に悩まされるか独特のデザイン性に飽きて嫌気がさすのが関の山である。
また、R１チューニングアプリなどをダウンロードすることによりゴルフ用品業界とITテクノロジーの融合という近未来型の楽しみ方も堪能出来る。
しばらくテーラーメイドはこのロフト可変式をやめないだろう。なぜならヘッドのバリエーションを１つで済ませる事が出来るのでメーカー、販売店ともに余剰在庫のリスクを減らせる事が出来るからである。
これだけ細かな調整が出来るようになると、その可変システムの耐久性が問題となるところであるが、今のところあまりこの可変部分が壊れたという報告はない。しかもテーラーメイドは保証期間の後であっても明らかにメーカーの不備で壊れた場合などは無償保証をしてくれる場合があり、大手メーカーとしては顧客満足度は非常に高い。その意味でもやはり正規販売店で保証付きの商品を購入するべきなのかもしれない。
今後はフェース角を変えずにロフトを変更出来るシステムを構築してもらいたいところである。