重心距離を移動させ弾道を調整させる事が出来るスライダー式の
重量可変式モデル。このような新しいアイデアが生まれるのは最近ではテーラーメイドの専売特許となりつつある。
このスライダー式の重量可変方式における一番のメリットとしては重心深度を前に(浅く)保ったまま重心距離を変化させる事が出来ると言う事である。これにより理論上はスピン量を減らしつつボールの捕まりを確保出来る。このドライバーは多くの試打ブログでも紹介されているが、あまり理解されていないのは重心を前に保つ事で慣性モーメントが小さくなると言うデメリットもあるということである。またインパクトではフェースが下を向きたがるので打ち出し角も低くなる。だからこそここ十数年では重心を深くすることにメーカーは躍起になって来た訳である。多くの試打レポートでもその低スピンが強烈であるために「重い球」「前に伸びる球」などと評されるがその方向性の悪さに関しては殆ど言及されていない。このヘッドはスイング中、特にインパクト時のヘッドのぶれが大きく決して簡単なクラブではないことに注意しなくてはならない。 またロフトを減らすように調整すると構えた時に大きくヘッドが開いてしまうことにも言及しておきたい。このせいで実際にソールすると結局はロフトが上を向いてしまうので人によってはうまくセットアップ出来ない事もある。購入する時はショップに赴き実際にアドレスする事をお勧めする。またスライダーを移動させるとヘッドの挙動だけではなく打感も変化してくる。このように調整機能を使うことによって全く違う顔を見せるという慣れないおもちゃのような側面を持つ。
マイナス面ばかりを述べて来たがある程度技量のあるプレイヤーでボールのふけ上がりに苦労していた人であれば一度は試す価値がある。実際に
RatingGate試打スタッフの中には随分と高評価を出して来たプロもいる。 商品サイクルが極端に早いテーラーメイドのこと、また1年も経たずに中古ショップでは価格が急落することを覚悟するのであれば、(人によっては)決して悪い買い物ではない。
またこの評価は廉価版の
SLDR USモデルについてのものではないことも触れておきたい。