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Titleist VG3ドライバー

特徴

日本人向けに、ローヘッドスピーダーでも自身のパフォーマンスを最大限発揮できるような設計を行っている。後述するが、決して初心者向けのドライバーではない。タイトリスト社のHPでもシングルゴルファーの特性をモニタリングしたと明言しており、複数年契約をした芹澤信雄プロのようなプレイヤー層をモデルとしている。
以下、メーカーHP抜粋
ロフト別重心設計
ロフト別に最適な重心位置・重心角を設定。9度、10度、11度の各ロフトでそれぞれに効果的なつかまりを実現
リアルな打点と一致させたスイートエリア
平均的なヘッドスピードを持った日本人ゴルファーの打点を分析。特に打点が多く集まったヒール側下部にまでスイートエリアを拡大。
チタン鍛造構造
軽量で高い強度をもつチタン鍛造ボディは、優れた打感も発揮。フェースにはスイートエリア拡大に貢献するカップ・フェースを採用。

飛距離

今回もまた飛距離性能については大きな期待は出来ない。落ち着いた強弾道が魅力であり、フォローでもアゲインストでも確実に飛距離をキープする、そんな性格のドライバーである。
これまでのタイトリストヘッドのように右に大きく逃がして飛距離をロスするような設計にはなっていないが、ヘッド自体、またはシャフト自体の性能で飛距離を稼ぐモデルではない。ボールが前に前に行こうとする力が感じにくい。同時に飛距離測定を行った他社ドライバーにも後れを取る結果となってしまった。

やさしさ

メーカーが明言している通り、スイートスポットはフェース中央からヒールよりにある。ヒールよりで打っても本当に飛距離が落ちにくく、上級者の傾向を良くとらえていると感じた。
ボールの捕まりは普通程度。これはメーカーの主張とは異なる結果となった。決してゼクシオやViQなどのようにヘッドがクルクルと回転しやすいわけではない。当然RatingGateのプロスタッフには高評価である。
総合的に判断すると、初心者向きではないが気合いを入れて一発一発を打つ必要もないドライバーである。

操作性

ヘッドは大きな癖がない、「静かな」ヘッドである。また純正のVG50、60シャフトについてもあまり気になるマイナスポイントは見当たらない。
さらに弾道は落ち着いていてフェアウェイをピンポイントで狙えるような柔らかく着地する球を打ちやすい。これは競技では大きな武器になるかもしれない。

構えやすさ

これまでタイトリスト製品を使用してきた方には違和感があるだろう。むしろツアーステージ、ミズノなどの国産製品(プロモデル)を使用してきた方の方がしっくりくる。さすがに日本向けに設計されてきただけのことはある。これだけのモデルチェンジには相当のエネルギーが必要であろうがよく研究をしていると思う。
ヘッドの座りは良く、フェースの向きはメーカー未発表ながら、0度〜−1度程度。(実測値、ロフト9度) ただライ角は少しアップライト気味で62度であった。(実測値、ロフト9度)これも同様にプロスタッフ、アマチュアエージェンシー共に高評価である。

打感

打感に関してもこれまでのタイトリストのイメージから少しパラダイムをずらしてきている。基本的に柔らかさは残るものの、芯はかなりしっかりしている。特にモトーレシャフトの装着モデルに関してはかなりビシビシとボールの硬さを伝えてくる。ただし心地悪い硬さではなく、どちらかというとガッチリとインパクトを伝える。
打球音はメーカーのふれこみ通り金属音を強調しており、これは明らかに意図的。それでもゼクシオのようにキンキンとインパクトの強さばかりを強調するものではなく、澄み渡る金属音の中に湿度の高いボールを包み込む様な優しさも併せ持つ。

適性H/S

メーカー側はヘッドスピード40〜43m/s程度をターゲットにしているが、実はもっと上のヘッドスピード層をもカバー出来る。芹澤信雄プロがこのドライバーを使用する為にタイトリストと複数年契約を決めたこともその証明の一つと言えるだろう。
ただ、性能を存分に発揮し、このヘッドの良さを実感するにはある程度の練習量とある程度のスキルが必要である。ヘッドスピードというよりもゴルフにかける情熱で判断した方が良いのではないか。

推奨スペック

純正のシャフトは比較的良く仕上がっており、癖のない仕上がり。誰でもそれなりには使いこなせる。モトーレに関してはスタッフの評価は低くあまりお薦め出来ない。
基本的に癖のないヘッドであり、リシャフトするのであればグラファイトデザインのDIシリーズやマミヤのアッタスなどを装着すれば総合的なバランスの良さを維持したまま性能の向上が期待できる。ボールが上がりにくい人にとってクレイジーシリーズは相性が悪いだろう。
飛距離性能を向上させたいならばGDのEVシリーズ、コンポジットテクノのファイヤーエキスプレスなどもお薦め出来る。
様々なリシャフトモデルが発売されているので一度参照してみると良いだろう。値段も驚くほど安めに設定されている。
クラブ性能レーダーチャート
※飛距離の基準について
 H/S 42m/s以下の方
 H/S 43〜46m/sの方
 H/S 47m/s以上の方
Fitting Map
※Fitting Mapでは、各要素のが縦に一直線に並ぶほどバランスが良い設計とみなされます。

総評

現在までトッププレイヤー向けにクラブを開発してきたタイトリストだったが、これまでのクラブはターゲットをかなりハードヒッター向けに設計してきた。もちろんシャフトを軽くしてローヘッドスピーダー向けのスペックもラインナップさせてきたが、やはりヘッドの設計自体がハードであったためにいわゆる熟年層の技巧派向けのドライバーとはなりえなかった。
だが今回のVG3は日本人向けに設計を作り直し、体力に自信がない人でも使えるようなヘッドを設計してきた。これまでのタイトリストドライバーよりも捕まりを良くし、総重量も300gちょっととかなり軽量化してきている。
注意したいのは決して初心者向けのドライバーではないという点。体力が無くても使えるが、練習もせず良い球を打てるような甘い設計ではない。それなりに技術を持っていなければクラブの本領を発揮することはできまい。
総合的に判断すると、このドライバーの実力は大したものである。上級者ご用達のタイトリストブランドを傷つけることなく、燻銀のローヘッドスピーダーの要求を見事にクリアしている。さすがタイトリスト。これならブリヂストンのツアーステージのようにブランドイメージを著しく落とす事もないだろう。 実際にこのモデルは発売以来口コミ等で好調な売り上げを続け、タイトリストファンの高齢化に見事にフィットした形となっている。
あとは飛距離性能の問題をクリア出来れば983K以来の大きなヒット作となるだろう。

ギア情報

タイトリスト
VG3
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