UFiアイアンの一番の売りはスカンジウム合金を配合した新素材フェースである。以下、メーカー発表記述より抜粋。
ナノサイズの新素材を混合した9つの異素材合金・メタルマトリクスを採用することで、高強度&軽量素材&ソフトフィーリングの組み合わせによるフェースの軽量化と打感の良さを両立。
ヘッドの重量を効果的に周辺へ配分することで超低・深重心化と最大級慣性モーメントを達成。番手別オフセット設計により、見た目の良さと構え易さも実現。
また、2008年のUSゴルフダイジェスト社のホット商品にも選定されている。
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これまでのコブラ社のアイアンのイメージ、完成度などからスタッフの期待度は低いものであったが、このUFiは見事に期待を裏切ってくれた。シャフトとヘッドのバランスも素晴らしく、ヘッドスピードが上がりやすく、さらにフェースの反発力もすこぶる良好。飛距離も最高レベルに近い。
それでいて芯の食いつきはマイルドであり、メーカーの宣伝文句には常に懐疑的なスタッフも今回ばかりは納得顔である。
ただ、特にショートアイアンの飛距離の伸びは、ストロングロフトによるものも大きい。
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まずボールの捕まりは極端に良く、スライスの止まらない初心者には魔法の杖になる可能性もある反面、ドライバーやFWなどとの相性も考えないとスイング自体を壊しかねない。
ボールに回転を与えることは苦手で球離れも早め。
例えばラフに入ったボールをヒットする際、力任せにボールの手前から芝を根こそぎ持っていくようなパワフルさがある。繊細なショットには不向きである。
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注意しなくてはいけないのが、打感は柔らかいのに球離れが早いということ。ボールに意図的に横回転を与えるのは極端に苦手であり、ダウンブローに打ち込み過ぎても芯に当たってくれない。風の日などは苦労するだろう。
例えばコースボールでの試打などで、わざと軌道をアウトサイドインにしボールをこすり距離を殺そうとすると、グリーンの左にストレートボールが出てしまい距離も落ちず、グリーン左奥にキャリーしてしまう・・そんな感じなのだ。
スコアラインの何本目でヒットするなどという微妙な調整はプロレベルでも難しいし、それが出来たとしても球筋に与える影響は少ない。そのかわりに例えば意図に反してトップ目に当たってしまった時でもキャリーは思ったほど落ちない。
重心距離が長めで、ヒールに当たると打感が硬くなる。
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実際に構えてみると、フェースの色とトップブレードの黒色のコンポジットが目につく。
美しさはみじんも感じられないが、元々メーカーも微細な芸術性などは求めていないはず。気にしてはいけないのであろう。
アイアンというよりもむしろFWかユーティリティではなかろうかとさえ感じてしまう。
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意外な事に、プロスタッフ間でも極端なマイナス票は集まらなかった。前述したスカンジウム合金によるものだろうか。音はともかく芯に当たった時にはそれなりの満足感を得ることが出来よう。
一昔前のXXIO、ビッグバーサ、EXIM、マックテックなど類似形状の複合アイアンに比べると評価は格段に高い。女性もお勧めできるほどである。
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スイングウェイトはメーカー発表値はD1(基本)であるが、実際にはヘッドも大きく、バランスが軽く感じる。ローヘッドスピード層でも十分対応出来る。
ヘッドスピードが速くなるにつれて、オススメ度は下がる。ウェッジとの番手感距離に開きが出て来てしまうので、何も考えないでセッティングをするとPW〜PS間で50ヤードもの開きが出てしまうことも。
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売れ筋はカーボンシャフトであるが、弾きが良いヘッドと走るシャフトの組み合わせで、方向性は多少犠牲になる。カーボンシャフト装着モデルは体感バランスがかなり軽く感じるので、出来れば試打をお勧めしたい。
少しでも腕に自信があるのであれば実はスチールシャフトがオススメ。クラブ自体の特性をノーマルに近づけることが出来る。
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アメリカ的な派手さは隠しようがなく、恥の文化を意識の根底に持つ年配の日本人には受け入れがたいだろう。大きなロゴと金色のメッキ。トップラインのコンポジットまでわざわざ色を変える美的感覚は、スタッフのほぼ全員が理解できなかったが、その分だけ一見した時のインパクトは大きい。
このデザイン性は、UFiアイアンのみならず全てのコブラ社製品で顕著。明確なタイトリストブランドとの差別化を図っている。
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