ロングアイアンはフルキャビティでボールの上がりやすさを重視。ミドルアイアンはセミキャビティによって操作性と安定した飛びを追及。ショートアイアンでは確かな打感とコントロール性に優れたマッスルバックの3タイプのヘッド形状を採用するフローキャビティ設計。
又バックフェースのZ形状のキャビティにより、重量配分を最適化している。
|
飛距離性能を際重視しているモデルではなく、飛距離性能は平均的〜やや低め。
ロングアイアンでもロフト角は一番手につき3度は違い、昨今の良く飛ぶアイアンに特有なロングアイアンの飛距離がどの番手で打っても同じという心配もない。
軟鉄鍛造設計であり、特にヘッドの弾きは感じられない。ボールの回転数も中〜やや多めで、棒球を打たせて飛距離を稼がせるという意図も感じられない。極めて平均的なモデルである。
|
|
|
まず、ボールの上がり方は、姉妹モデルのZ−Mフォージドよりは若干高く、ロングアイアンだからといって無理やり打ち込まなくても揚力は得られる。
さらによく観察すると、Z−Mフォージドと比べてソールも厚く設計されている。これくらい差があるとラフの振りぬきなどにも影響を与えうる。さら、低重心になり打ち出し角が高くなる原因の一つとなっている。
注意点は、思いのほかボールのつかまりが良いという点。ロングアイアンになればなるほどグースが強くなる(メーカーはオフセットと表現している)とカタログに表記されているものの、実際に構えてみるとグースを感じるのは2〜4番のみで、5番からはほぼストレートと言って良い。しかしながらそれでも全ての番手において、歯をくいしばってボールを捕まえにいく必要はない。
|
ロングアイアンのグースがボールを押すフィーリングを出してくれるようで、ヘッドも鋭敏な挙動を見せる。
ボールの回転数は多めで球筋は非常に落ち着いている。上級者であればあるほど操作性は良いと感じるようだ。
上級者がこのアイアンに感じる操作性の良さはどこから来るのか。ボールの最適な回転量が大きな要因であることは言うまでもない。読者に誤解の無いように説明を補足しておきたい。
例えばプロプレイヤーにとって、180ヤードのショートホールであれば、フォローとアゲインスト、どちらが好まれるだろう。まず間違いなくアゲインストである。
アゲインストであればインテンショナルなフェードやドローの曲がり幅が計算しやすく、キャリーも大きくずれることはない。フォローというのは、時に良く飛び、時にはボールの上昇力が抑えられ飛距離をロスすることもある。さらには左右にも曲げづらく、扱いづらいのである。
このZーBフォージドは、この点について、無風状態であったとしても意図的にボールの弾道をイメージ出来るということらしい。
|
ヘッド形状に関しては高評価であった。若干のグースも適度なやさしさを醸し出す。同じく現行モデルのAP-1、AP-2と比べても、よりコアなタイトリストファンの心をくすぐるのはこちら。
トップブレードは若干厚めに設計されており、頼りがいのあるイメージは出やすいかもしれない。
問題点は、フローキャビティのつなぎ目で、バックフェースを見た特に5番と6番の差が視覚的に大きく、別のセットを半分だけ入れているような錯覚を起こしてしまう。後述する打感に関しても多少の違和感は感じるところである。さらにこれらのつなぎ目では難易度も溝ができてしまう。
実際に構えてみると、形状や顔つきのフローは整っているのが救い。
|
軟鉄鍛造独特の柔らかさは健在だが、スイートスポットが広いとは言い難く、特に先端部にヒットすると手にしびれは来る。
また軟鉄の中では特に柔らかいというものではない。どちらかというと硬いというレポートもチラホラ見られた。
ちなみに当然だがZ−Mフォージド、Z−Bフォージドを比較して8番までは打感の差は皆無。良く注意して打ち比べてみても認識できる程の差はない。3〜5番に関しては、Z−Mに比べれば若干ソフトになるが、ボケるという感覚ではなく、むしろ柔らかくて心地良い類のものであろう。 |
|
|
Z-Mに比べてアベレージ向けに設計されているというわけではなく、あくまで上級者がどちらのモデルをチョイスするかという選択肢である。また飛距離重視タイプではないので最低でもヘッドスピード44m/s〜は欲しい。
NSプロ(軽量スチール)とダイナミックゴールドが標準装備されている。無理は禁物である。
|
ダイナミックゴールドシャフトにすると、バランスが上がり、さらにシャフトレングスも0.25インチ短くなる。方向性重視ならダイナミックゴールドになるが、打感がさらにしっかりし、距離も出にくいことに注意が必要。
カーボンシャフトが標準でラインナップされておらず、タイトリストのこだわりが見て取れる。
|
タイトリストのデザイニングは1990年代から一貫してシンプルであり統一性が見える。ゴテゴテと余計な装飾がなされないのは日本人の美的感覚にマッチしている数少ない外国メーカーと言えよう。
唯一残念なのは、バックフェースのサテン仕上げに若干のむらが見られることと。高級感を印象付けるのはクロムメッキ部分ではなくサテンの仕上がり具合なので、これから改善していってもらいたい。
|