なんと言っても一番の特徴は、フラッグシップモデルをメーカー純正シャフトではなく、ランバックスの6Y09としている点。それもフジクラ社がシャフト単体で発売する前から先行採用している。
また、メーカーHPではあまりユーザーが欲しがる情報が得られないものの、インプレス独自のr.p.mコンセプト、新設計フェースなど新機能も充実しているようだ。
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ヤマハと言えば飛距離というイメージがあるが、それは10年ほど前のパワーマジックにさかのぼる。このインプレスブランドも巷での飛距離性能は高い。さて、実際のところはどうであろう。
緻密にショットテストを重ねた結論としては、プロパーモデル(一般に市販されている大量生産品)の中では比較的高い飛距離性能である。
天下のヤマハだけに大手シャフトの装着モデルのみの展開だが、それでも相対的に他社製品の平均値よりも高い。
キャロウェイ社のようにヘッドの弾きで飛ばすのではなく、ユーザーのパワーとスキルを的確にボールの推進力に変える、そんな飛距離の稼ぎ方をする。今まで大型ヘッドの特性によって甘やかされてきたプレイヤーも、もう一度クラブヘッドの軌道や入射角、スイングタイプなどをチェックせずにはいられないようなニュートラルなヘッド特性であり、良いスイングをした時には必ず飛距離が伸びる、そんなクラブと言える。
ただしこのモデルに関しては、かなりのヘッドスピードとスキルを要求されるので、おのずから適応範囲は狭くなる。10発に1発だけずば抜けて飛んでもスコアアップの助けにはならないのだから。
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ヘッド形状から推測はされるであろうが、易しいヘッドではない。捕まりが良いわけでもないしボールの上がりが良いわけでもない。ヘッドの投影面積は小さくコンパクトである。
初心者には不向きで、ゴルフの一番難しい時期に一番難しいクラブをわざわざ使うこともなかろう。
前作との比較でいえば多少は軟化傾向にあるとも言えるが、それでもまだまだ初級者には難しいだろう。
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アマスタッフ、プロスタッフ、共に一番評価が良かったのがこの操作性。特に複数のプロスタッフに関しては異口同音に上級者が求める操作性の高さをあげている。
高い球、低い球、インテンショナルフックやスライスも、元来そのプレイヤーに打ち分けるスキルを持ち合わせているのであれば、打つのは非常にたやすい。
ボールの回転数は安定しており、ドカーンと上に上がるのではなく糸を引く低めの弾道といった感じか。
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ヤマハもカタログやHPで強調している通り、実際に構えてみると日本人が最も好むオーソドックスな顔をしている。ヘッドのカラーやソールの形状、デザインに至るまで何か目を引くようなものは一切ないが、それでいてナイスショットを予感させる美しさを持っていると言える。
ヘッドがディープフェースであるために、上から見るとフェースが余計に見え、ロフトが寝ているようにも感じるものの、もちろん実際には球の上がりにくい強弾道である。
契約プロを数人しか抱えないゴルフメーカーがこれだけ上級者向けの設計をするのは少し驚きもある。
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打球音に関して言えば、ヤマハは現在の日本のゴルフメーカーで(いや世界中のといっても良いかもしれない)最先端の技術を持っていると言える。それは長年楽器メーカーとして世界のトップに君臨し続けるヤマハの強みであり、事実として音の波長の分析などにもこれまでのノウハウを生かしているようだ。
一言で言うと打感と打球音に関してはこれ以上の感覚はないと言っても良い。もちろん大手プロパーモデルの範囲としてではあるが、それでもRatingGateのプロスタッフは全員が最高評価を与えた。
適度な金属音が心地よいが決してうるさくなく、しかも芯を外した時は打球音が一段階低くなる。
まだ一度もヤマハサウンドを体験した事がない人は是非一度は試打してみてほしい。上級者でなくとも必ずインスピレーションは得られると思う。
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このクラブを打ちこなすには45m/s以上が必要。もしそれ以下でも姉妹モデルがあるので落胆する必要はないのだが、最もインプレスの基本性能の高さを実感できるのはやはりこの4.6Vr.p.mである。
あくまでも推測であるが、コンセプトや設計、基本性能を比較すると基幹設計となったのはこのモデルであることはほぼ間違いない。
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前述したように、基本スペックのシャフトはROMBAX6Y09である。ヘッドとの相性も素晴らしい。
その他、他社から色々なカスタムモデルが出ているが、クワドラやクレイジーなどは装備されていない。
ちなみに長尺の飛距離際重視モデルもある。価格も比較的安い→2009年NEWモデル!ヤマハ inpres X 4.6D ST-LONG r.p.m. ドライバー オリジナル カーボン MU...
ヤマハはユーザーカスタムにおけるサービスとしてはまだまだ後進である。例えプロ資格を持つ現役のプレイヤーが、メーカーに直接希望を伝えてもそれをサポートする体制は整っていない。だとすれば一般ユーザーがヘッドの個体差、形状などについて好みのものを手に入れようとしてもメーカーがその希望をかなえてくれることは無い。
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