日本中が注目した石川遼プロの使用モデル。430ccで中〜上級者向けに設計。フェースに特徴があり、トゥ側とヒール側に厚みを持たせた台形に近い形状である。
純正シャフトにはゴムメタルという複合金属を装填し、この手法は数年前のサイバースターから受け継がれており市場でも一定の評価を得ている。
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石川プロがヨネックスと契約に踏み切ったのもドライバーの飛距離性能があってのことだったというが、一般プロパーモデルに関しては飛距離性能が特に秀でているということはない。
レポートを総合すると大体「中の下」程度である。シャフトにバリエーションがあり、確かにグラファイトデザインのEVシリーズとの相性も悪くはないが、実際にスタッフの直接試打においてもjBEAM+クレイジー又はハンマードライバーなどの上位ランキングドライバーとは飛距離の差は歴然と出てしまった。
フェースの弾きも特に良くなく、ボールの推進力も平均並み。スタッフの期待が大きかっただけに、読者の方のレポートを加味しても残念な結果になった。
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ヘッドは430ccと小さめでディープフェースであるが、不思議と打ち出し角は高い。
さらになぜかボールのつかまりも良く、超ハードヒッター向けという設計ではない。
ただ、それなりに機敏に反応するので今まで大きな投影面積のヘッドや異型ヘッドの恩恵を受けてきた人には難しく感じるだろう。
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軒並み平均値を超えなかったデータの中で、一矢を報いたのがこの操作性であった。ボールの食いつきは良く、ヘッドもシャープに動く。
さらに得意なのは球の高低を打ち分けることで、アゲインストの中でも人の背丈ほどのローボールを打つことも可能であった。
上級者はフェースのヒットポイントをずらすことでボールに意図的な回転をかけることもしやすい。
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ソール面からは想像つかないほど実際に構えた顔つきは落ち着いている。フェースも表示通りほぼストレートで変な癖もない。
ただ、老舗の大手メーカーが長い歳月をかけてヘッド形状を少しずついじっているのに比べて、まだまだ歴史が浅いためかネック部分の曲線などに芸術的な美しさは感じられない。
さらにヘッドの個体差のばらつきも目立った。購入する際には出来るだけ実店舗で顔を選びたいものである。
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多くのレポートに寄せられたのは、「柔らかい」というより「鈍い」という感覚。
ヤマハのインプレスのように、打球音を音波レベルで研究しているメーカーのヘッドは、柔らかい中にも一つ芯の通った金属音を盛り込んでいるものである。この感覚がないとエネルギーがしっかりとボールに伝わっているのか分からないからだ。
その点ではこのナノVはまだまだ開発段階と言える。決して不快な音ではないが、スイートスポットに当たっても突き抜けるような爽快感にはかけている。
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超ハードヒッター向けというわけではない。純正シャフトでは一番重い仕様でも297gと軽量である。ボールが上がりやすいなどのヘッド特性から考えてもおおよそ43m/s程度あれば大丈夫だろう。
ロフトの数値に対して打ち出し角が高くなることにも注意が必要。
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ある程度体力があれば純正シャフトは考えられない。相性が良いのはもちろんグラファイトデザインツアーAD(EV6、7)である。
今時のドライバーらしく、レングスが45インチ、もしくは45.5インチに設定されていることにも注目したい。構えたときの投影面積が大きくないので、長尺ヘッドでは実際よりも小さく感じてしまう。
ちなみに石川プロは44.75インチ、10°バランスD4.5で試合に臨んでいる。(もちろん流動的であろうが)
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