プレミアムクラスと銘打つジオテックの最上級ブランドで、性能はもとよりデザインや塗装などのディテールまでもこだわって設計されている。
主な特徴としては188gという軽量ヘッドとNGS社とのコラボシャフトによる純正スペックの装備が挙げられるが、HPを見てもその他は特に目を引くインフォメーションを得ることは出来ない。
以下メーカーHPより
■クラウン部後方をより低くするシャローバック設計
■フェイス面は中心部が厚く(3.2mm)周囲が薄く(2.41mm)なっていくSP700の不均厚フェイスを採用
■4軸カーボンを先端に配した専用設計シャフト"クロトRE10ドライバーシャフト"
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一言で言うと、圧倒的なパンチ力をもつヘッドである。1球1球と打つたびにスタッフの顔色が変ってゆく。 このクラブは飛ぶ。 どのクラブも似たり寄ったりの昨今のクラブ競争において異彩を放つヘッド性能を誇るのは間違いない。
ターゲットは初~中級者やシニア層であるが、実際に試打を繰り返してみると練習量の多いシングルクラスやハードヒッターまでもその実力を十分に堪能できる。爆発的な打球音と共に、ボールは大きく空に舞い上がったまま前に前に加速してゆく。今はやりの高打ち出しロースピンというよりはむしろ、、ボールの横っ面を思い切り大きなフライパンでぶっ叩いたような暴力的な球筋を得意とする。それゆえに誰もが簡単に最大飛距離の夢を見ることが出来るのだ。
軽量(188g)で設計されているのはもちろん長尺で振り切るためである。事実ジオテック社でも通常のスペックの他に46インチの長尺仕様でフジクラモトーレを追加販売させている。(後述するがこちらはRatingGateでは推奨しない)
スタッフプロ数人の試打では46インチ仕様のスペックにおいて平均で1.5~2m/s程度のヘッドスピードアップを実現した(GST2計測値)。実際のコースボール計測でも10ヤード以上飛距離を伸ばしたプレイヤーが複数存在する。
飛距離性能向上のコンセプトとしてはカタナゴルフのSWORDスナイパー4WDに近い。しかしスナイパーと比較して同等かそれ以上の性能を、半分の価格で実現しているところこそ、ジオテックの真骨頂と言えるだろう。
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ヘッド形状を後ろに伸ばしながらもクラウン部のふくらみを最小限に抑え、重心を低く抑えている。また容積を450ccに抑えているのは重心のコントロールを優先させているからであろう。
ヘッド自体は特に大きな癖がなく直進性も高い。もともと長尺での使用を考慮に入れているため球の捕まりは良いので、45インチ以下のレングスで組み上げた場合は左が少し怖い。
スイートスポットも広く、かなりトゥ側にヒットしてもしっかりギア効果でフックしてくるし、トップしてもボールの回転数があがり浮き上がってくれる。
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球離れは普通程度からやや早めであるが、重心の深さも効果的に設計され、ボールを後ろから押してくれる。ヘッドの挙動が比較的安定しており操作性が極端に損なわれる事がない。
とはいうものの、やはり45インチ以上で組み上げた場合は飛距離最優先。針の穴を通す様な正確性は得られないだろう。スタッフプロの言葉を借りると、「力ずくでボールをかっさらって飛距離を稼ぐクラブに繊細さを求めるのは無理がある」だそうだ。低い球をインテンショナルに打つことなども苦手である。
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10.5度のモデルではフックフェース1.5度となっており、顔にうるさいプレイヤーには気になるところである。ただ、スナイパー4WDのように明確に左を向いているわけではなく、それほど顔をしかめる必要はなさそうである。9.5度のモデルに関しては殆ど気にならない。
実際にアドレスをとると、ヘッド形状はオーソドックスであり、ヘッドの座りも良い。ソールしてヘッドがぐらつくこともなく安心感に満ち溢れている。
規定ギリギリには10cc足りない450ccではあるものの、シャローバックのせいであろうか、投影面積はかなり大きく感じる。
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思いのほか評価が良かったのがこの打感、打球音である。芯でとらえると「ピキーン」とかなり高めであるが品のある音で、ダンロップのゼクシオを思い起こさせる。
実際に試打を行った時には、森に囲まれたティグラウンドでこの澄んだ音が木々の間を駆け巡り、プレイヤーに至高の瞬間を知らせてくれた。
特にローヘッドスピーダーにとっては最高の音質であると思う。この点でもスナイパー4WDよりも優れている。
ただ、ヘッドスピード50m/sを超える試打スタッフが打った時は、耳鳴りがするほど音が大きかったようである。
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後述する推奨スペックをよく吟味してほしい。セッティングを間違わなければかなり幅広いプレイヤー層に適応になろう。レディースから47m/s程度まで十分にヘッド性能の恩恵を受けることが出来る。
それ以上のハードヒッターの場合、強度がクリア出来ずにヘッドが破損される可能性がある。どんなに良い性能のヘッドでも基本的にはローヘッドスピーダー用に設計されているからである。
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当時は大して期待もしていなかったため純正の1スペックのみで試打を行ったが、性能が明らかになるに連れて後日様々なシャフトスペックを試すことになった。
ヘッド特性と長尺を考慮して、飛距離性能最重視ならばコンポジットテクノ社のファイアエクスプレス55を推奨したい。適度な粘りが長尺独特のタイミングをうまくアジャストしてくれる。また、意外に感じるかもしれないが、純正スペックのクロトRE10ドライバーシャフトはすこぶるタイミングが良くコストパフォーマンスを考えれば断トツの性能を誇る。さらどうしてもスライスさせたくないプレイヤーにはマッハラインPROTOライト、少し腕力に自信があってクレイジー社のタイミングをうち慣れているのならばLY-02をお薦めしたい。
避けたいのはLY-01、ジオテック特注スペックのモトーレスピーダーVC4.0、VT4.0である。ジオ社には悪いが特にスピーダー系は推薦できない。長尺で大きく飛ばす類のヘッドはクラブの重さを感じてゆったり振る必要があり、これらのシャフトはシャープすぎてヘッドの性能を生かしきることが出来ないのだ。
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特徴的なのはクラウン部分に映る赤色のパール塗装。このデザインは下地に赤を塗るため他のジオテック製品では余剰コストの観点からあまり採用されていない。クロトはやっはり同社の中でもプレミアムモデルなのだろう。
ソール部分やフェース面はシャンパンゴールドが高級感を醸し出しておりオーナーの優越感をを掻き立てるだろう。ただ、実力派の玄人っぽさはない。
塗装の仕上げも比較的丁寧であるが、発売してから間もない時期に評価を行っているので、耐久性はまだわからない。
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