日本アマ使用率No1になったZR−800シリーズの後継機種。開発段階からSRIスポーツ契約のプロが多数使用し、プロの評価が高いモデルである。
ヘッド形状については中嶋常幸プロが監修したという。ヘッド、スペック等を総合すると前作より軟化傾向にある。またフェースの金属に「スーパータイエックス」という新日鉄供給の新素材を使用しているとのこと。
以下、メーカー抜粋
■反発エリアが拡大し、安定した大きな飛びを生む「新肉厚構造フェース」
■ターゲットに対して真っ直ぐ飛ぶ「ツインカムソール」と「新素材軽比重チタン」
■世界のトッププロが求める構えやすさと安心感をさらに追求
■ミート率、ボール初速ともにアップし、安定した大きな飛びを生む「新設計シャフト」
■思いきり振り抜けて飛距離アップ!「フジクラ モトーレ スピーダー VC6.0」
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このZ−TXが他社の製品に比べて大きく飛距離性能に優れているということはなさそうだ。特に純正シャフトは飛距離を優先させたというよりはむしろ総合的に無難に仕上げているといった印象。
ヘッド形状が平べったくなったせいもあるが、まだ前作ZR−800の方が数値的にも実際に打ち比べても飛距離のアドバンテージが大きい。
適正な打ち出し角とスピン量でボールが飛び出してもどこか力感にかけ、大きな音に比べて思ったより前に出ない。
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これがダンロップの販売戦略なのか、プロユースのモデルではあるが初心者でも全く問題はないほど易しい。ティショットでのストレスは大幅に軽減されるであろうが、どこか物足りなさに包まれてしまう。
ZR−800では重心の高さからかなりの難易度であったが、このZ−TXは直ドラ(フェアウェイからドライバーを使用すること)も難なくこなすほど重心を下げてきている。
多くのプロの意見を反映させたというが、ツアーのプロはアマチュアよりも易しいクラブを好む傾向を顕著に表わしているのだろう。
不思議に感じたのは、これだけの易しさを持ちながらもボールの捕まりは抑えている点。したがってボールを捕まえたいスライサーは注意が必要。
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ヘッドはプロユースモデルにしては鈍感な方で、特に純正シャフトを装着するとフェースの向きの変化がのろのろともどかしい。ZR−30などのシャープなモデルに比べると大きく操作性は劣るが、往年のゼクシオのように極端に球離れが早いことはない。
またヘッドの先でインパクトさせ、ギア効果によってドローを打つことは出来ない。
プロレポートでも操作性が良いという意見はほとんどないが、大きな癖がないことは評価に値できる。
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フェース面は殆どスクウェアであり、こちらは高評価となった。スリクソンは3年ほど前まではフェースをスクウェアに保つ設計技術に遅れ、プロモデルでも大きく左を向くモデルが多かったが、ここ2年ほどで大きく改善されている。これはRatingGateが何度も厳しく言及してきた点でもあるのでうれしい限りである。
ヘッドの座りも申し分なく、重力に任せてソールしても、おかしな座り方はしない。
少し気になるレポートとしては、悪評が高いソール形状のせいで、芝が薄いときに限ってスムーズにソールできないというものもあった。 |
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低評価となってしまったのはこの独特の打感、打球音であった。前作も柔らかいとは言い難かったが、各メーカーが研究を重ね比較的容易に改善出来るポイントであるがゆえに、相対的に悪いレポートがそろってしまった。
音は大き目でしかも高い。ゼクシオまでとは行かないものの、至高の打感には程遠い。アスリートモデルという先入観も違和感を感じさせる要因なのかもしれない。
唯一プラス評価に傾いたのは、球の食いつきは良好ということであった。
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特にハードヒッターでなければ打ちこなせないということではなく、純正シャフトも2種類あるので体力によってシャフトを選べばよい。ただヘッドスピードが早ければ早いほど、フジクラのモトーレでは頼りないし純正シャフトでは役不足であるので、プレーヤー自身でリシャフト等の調整が必要になってきてしまうだろう。
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純正シャフトは飛距離性能の点でお薦め出来ず、モトーレもSシャフトまでしかラインナップされていない。ダンロップのフラッグシップモデルにしてはまだまだ配慮不足は否めない。各ショップが発売しているオリジナルのリシャフトモデルに頼らざるを得ないのが現状のようである。
日本アマなどで評価が高いのはやはりクレイジーだろうが、残念ながらRatingGateでも分析を進めていないので言及は控えたい。どんなヘッドでもクレイジーシャフトが飛んで曲がらないというのは正しくないように思う。
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