まだRatingGateでは大きな話題にはなっていないがシニアツアー、女子ツアー、ドラコン選手権などで使用が急増しているシャフト。
シャフトの軽量化と振り子バランスにより、スウィングスピードをロスすることなくボールに伝え、ボールの初速を高めるとともに、剛性の高いカーボン繊維と特殊織物繊維の配合によりムチのようなねばりとバネのような反発力で、力強い弾道と最大限の飛距離をもたらすという。
HP上には詳細なインフォメーションはないので解説を加えるが、振り子バランスというのはバット側とチップ側の両方にウェイトを配分することで、50g代でも実際に振る時にはずっしりと重量感を持たせようという意図で設計をされたものである。
|
巷でも飛ぶと評判のシャフトであるが、確かに実際の試打でもスタッフの多くがその飛距離性能の高さを実感した
メーカーでは振り子バランスを強調しているが、我々の実測試打ではボールの初速自体が高い値を示した。これがその振り子バランスの効果なのかその関係性は不明だが、ツアーで飛び交う噂はあながち嘘でもなさそうである。
飛距離を伸ばしているもう1つの要因として、シャフトの剛性が挙げられる。通常この程度のシャフト重量(データ参照)ではどうしても剛性が得られず、ヘッドスピードが高いプレイヤーにはスイング中の挙動が不安定で心許ないことが多い。しかしこのワクチンはこの重量帯でもしっかりと剛性を確保しており、切り返しでもシャフトがヘッドの重量に負ける事なくレスポンスを手元に伝え、インパクトまでそのしなりの反発力を維持して力強くボールを押していくことが出来る。多くのシニアプロがこのシャフトを使う理由もまさにここにある。
かなりシャープな打感でボールに当たり負けしない。
|
例えばSシャフトでは中調子であるが挙動は静か。スイング中に極端にトゥダウンを起こすような感覚もなく穏やかな仕上がりである。
シャフトの動きに気をとられずにスイングを終える事が出来る。
ボールはあまり高くは上がらないので特にヘッドスピードの遅いプレイヤーはヘッドのロフトで背伸びをしないようにしよう。
|
球の打ち出しも極端に高くなく、落ち着いた球筋なので競技でも十分使用可能である。そうでなけばプロが大勢使用したりしないものである。
ただインテンショナルに横の回転をかける事は少し苦手のようだ。スライスでわざとこすったりしようとすると左に真っ直ぐ突き抜けたりしがちである。(もちろんこれを利点と捉えてもらっても構わない。)
|
トップからは非常に滑らかでなおかつ強健なしなりを見せる。例えばSフレックスでヘッドスピード47m/s程度で振っても中折れ感は全くでない。
シャフト全体がしなるというよりもチップから中間部の狭いレンジが小さくしなる。
Xシャフトは若干手元寄りがしなるがディアマナなどのようにヘッドを後ろから押す様な感覚でもない。インパクト付近ではヘッドは走るもののロフトを立てるようにしなりが戻ってくるのでボールの回転数は抑えられる。
|
フレックス別によく設計されているのでRシャフトからXシャフトまでどれもバランスは悪くない。
中でも特に評価が高いのはSフレックスで、前述したように飛距離の欲しい上級者が長尺で組む事でシャフトの性能をフルに発揮出来るのではないだろうか。女子プロやシニアプロなどのヘッドスピードも丁度Sフレックスに適応する事から、人気が高いことも納得出来る。
ただ、女子ゴルファーなど、ヘッドスピードが40m/s未満であると、大きな恩恵を受けられるというわけではなさそうである。なぜならもともとのターゲットから離れるため設計の意図に含まれていないからである。
|
一番お薦めしたいのは飛距離重視のプレイヤーであることは言うまでもない。中でも長尺で組みたい人、切り返しの速い人、シャープに振りたい人にはよくフィットするだろう。
トップからシャフトのためを作れない人、手首のリリースが速い人は硬く感じるので、フレックスを1段階下げたほうが良いだろう。またフジクラのモトーレ、スピーダーのようにビンビンと手元に弾きを感じるシャフトが苦手な人には不向き。
|
|